
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査とは
オンコタイプDX乳がん再発スコア®プログラムと、その特長について
注)オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査と日本向けに開発したソフトウエアを組み合わせたプログラム医療機器です。ここでは、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査について概説します。
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の早期乳がん患者さんを対象に、以下の目的で開発されました。
化学療法には短期的および長期的な副作用があり、その時だけでなく将来的な健康、生活の質、家庭生活および仕事に影響をおよぼします1-3 。また、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の早期乳がん患者さんの大多数は術後化学療法による効果が得られません4 。
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の早期乳がん患者さんを対象に、以下の目的で開発されました。
- 化学療法の効果が得られる患者さんを見分ける
- 化学療法の効果の大きさを推定する
- 化学療法を個別化する
化学療法には短期的および長期的な副作用があり、その時だけでなく将来的な健康、生活の質、家庭生活および仕事に影響をおよぼします
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査が持つ、前向き臨床試験に基づいた化学療法効果予測能
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査の開発
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の早期乳がん患者さんにおける予後を評価し、化学療法の効果を定量化するために開発されました9 。この目的に沿って遺伝子が選択されており、この効果予測能は、化学療法と内分泌療法の併用(化学内分泌療法)群と内分泌療法単独群とを比較した後ろ向き-前向き2群比較臨床試験(リンパ節転移陰性を対象としたNSABP B-20試験5,14 、リンパ節転移陽性を対象としたSWOG-8814試験8 )により確認されています。近年実施されたTAILORx試験6 では、再発スコア結果が中間域のリンパ節転移陰性患者さんにおいて、内分泌療法単独は化学内分泌療法に劣らないことが示されました。また、RxPONDER試験11 の中間解析の結果では、再発スコア結果が0-25の閉経後患者さんは、臨床病理学的因子に関わらず化学療法を省略し得ることが示されました。これは、大半の患者さんは化学療法の上乗せ効果を得られないことを示した、これまでの研究を裏付けています4 。
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ユニークな腫瘍生物学的特性の理解に基づいて、化学療法の効果を予測するために開発されました5,9 。 オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ハイスループットリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて固定パラフィン包埋腫瘍組織中の21個の遺伝子の発現量を測定します。 この16個のがん関連遺伝子と5個の参照遺伝子からなるパネルは、3つの独立した乳がんの臨床試験を基に構築されました。これらの21個の遺伝子の発現レベルに基づき、一人ひとりの検体ごとに再発スコア結果を算出します。
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、ユニークな腫瘍生物学的特性の理解に基づいて、化学療法の効果を予測するために開発されました
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は、21遺伝子の発現量を測定することで一人ひとりの腫瘍の生物学的特性を明らかにします9 。
16個のがん関連遺伝子および5個の参照遺伝子
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査により得られる情報
オンコタイプDX乳がん再発スコア検査では、再発スコア結果、遠隔再発リスク、および該当する再発スコア群における平均の化学療法の上乗せ効果という3つの情報が得られます。これらの情報により、術後化学療法による効果が得られる患者さんと得られない患者さんを特定します。
リンパ節転移陰性および リンパ節転移陽性 患者さんのオンコタイプDX乳がん再発スコア検査結果の見方について詳しくみる。

オンコタイプ DX乳がん再発スコア検査による治療指針の提供
リンパ節転移陰性とリンパ節転移陽性の両方に対する包括的な臨床エビデンスにより、オンコタイプDX乳がん再発スコア検査は信頼性を持って化学療法治療を決定するのに役立ちます。

aリンパ節転移陰性(N0)患者:TAILORxの年齢別探索的解析では、50歳以下の患者は、再発スコア結果が16-25の場合、9年経過時点で化学療法から臨床的に意味のある効果が得られることが示唆されました。
リンパ節転移陽性(N1)患者:PxPONDERデータの閉経状態による解析が行われ、再発スコア結果が0-25の閉経前患者は5年経過時点で化学療法から効果を得られることが示唆されました
b 閉経前のN1患者で再発スコア結果が26-100の患者に対する化学療法の上乗せ効果は、無作為試験で正式に評価されていません。
化学療法の上乗せ効果は、化学療法の有無による遠隔再発(N0)または遠隔無再発期間(N1)の確率に基づくパーセンテージポイントで表示されます。
上乗せ効果1%未満の場合、化学療法の上乗せ効果は考慮されません。(N0)
*観察期間中央値6.1年、期待されるイベントの66%が発生した時点での解析
** 5年遠隔再発率:内分泌療法単独群3.4%、化学内分泌療法群4.2%
*** 5年遠隔再発率:内分泌療法単独群6.1%、化学内分泌療法群3.7%
****閉経前N1で再発スコア結果26以上の対象において、化学療法の上乗せ効果は、ランダム化比較試験での評価はされていません。
リファレンス
- Partridge et al. J Natl Cancer Inst Monogr. 2001.
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- Groenvold. Dan Med Bull. 2010.
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- Paik et al. J Clin Oncol. 2006.
- Sparano JA et al. N Engl J Med. 2018.
- Ballman et al. J Clin Oncol. 2015.
- Albain et al. Lancet Oncol. 2010.
- Paik et al. N Engl J Med. 2004.
- Dowsett M et al. J Clin Oncol. 2010.
- Kalinsky et al. N Engl J Med. 2021.
- Kalinsky et al. SABCS. 2021 GS2-07.
- Nitz et al. Breast Cancer Res Treat. 2017.
- Geyer et al. NPJ Breast Cancer. 2018.
- Hortobagyi et al. SABCS 2018.
- Stemmer et al. St. Gallen Conference. 2019.
- Stemmer et al. NPJ Breast Cancer. 2017.
- Mamounas et al. NPJ Breast Cancer. 2018.
- Petkov et al. Npj Breast Cancer. 2016.
- Blohmer et al. ESMO 2017.
- Bello et al. Ann Surg Onc. 2018.
- Sparano and Paik. J Clin Oncol. 2008.
- Sparano et al. N Engl J Med. 2019.
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